この記事の目次

一人目人事は、採用、入退社、労務の窓口、研修、評価制度づくりなど、性質の異なる業務を同時に担うことがあります。「全部を自分でできていない」と感じる前に、業務の緊急度、法定期限、事業への影響、社内の担当者を整理します。

中小企業庁の人材活用ガイドラインは、人材課題を経営課題と合わせて確認し、人材戦略を検討してから実行する流れを示しています。また、採用だけでなく社内育成や業務の見直しなども選択肢に含めています。したがって、業務があふれたときは「人事が努力して全部行う」以外に、経営者の決定、社内分担、外部活用、業務自体の変更を並べて検討できます。(中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン)

最初に業務を棚卸しする

2〜4週間を目安に、発生する仕事を記録します。この期間は整理を始めるための例です。業務名、頻度、期限、所要時間、依頼元、代替できる人を記載します。

分類 例 進め方の考え方
期限・法令に関わる業務 入退社手続、勤怠締めなど 期限と担当を先に確定し、専門家へ確認
採用・人員の業務 求人、面接調整、オンボーディング 採用責任者と要件・判断範囲を合意
制度・組織の業務 評価、役割整理、社員説明 経営者と目的・決定時期を明確化
突発・相談業務 社員相談、現場トラブル 受付方法と緊急時のエスカレーションを決める

経営者と優先順位を合意する

1. 今月止めない仕事を決める

法定期限のある業務や、給与・採用の進行に直接影響する仕事を確認します。法律上の判断や書類作成・提出が必要な業務は、担当者の知識だけで抱えず、社労士など該当する専門家に範囲を確認します。

2. 今四半期に進める改善テーマを絞る

採用、制度設計、管理職育成をすべて同時にプロジェクト化せず、事業への影響と準備状況を見て優先順位を決めます。

3. 自分が決めることと、経営者が決めることを分ける

人事が提案・運用を担い、経営者が事業方針、予算、最終決定を担うなど、責任と決裁を表にします。仕事だけを委任され、必要な判断や予算を持たない状態にしないようにします。

4. 定例で負荷を確認する

週次または隔週で、期限、止まっている判断、増えた相談、外部へ依頼する候補を共有します。業務量が持続可能でない場合は、優先順位、採用、外部委託のどれを変えるかを経営側で決めます。

一人で抱えない選択肢

給与計算や法令に関わる実務は社労士や専門事業者、採用実務は採用代行、制度設計や組織課題の整理は人事コンサルなど、業務ごとに相談先を分ける方法があります。依頼する場合も、会社側に判断者と情報管理の責任者を置きます。

人事業務の外注と内製の分担は外注か自社かの判断基準、一人目人事の採用要件を作る場合は一人目人事を採用する前にをご覧ください。

仕事が積み上がったときの優先順位表

優先 例 行動
期限・重大影響がある 給与締め、行政手続、採用の決定待ち 担当者と期限を確定し、必要なら専門家へ相談
事業の進行を止めている 採用要件、管理職の役割、決裁の滞留 経営者に選択肢と必要な決定を持ち込む
改善として積み上げる 評価制度の全面見直し、研修設計 今期の対象を絞り、開始・終了条件を決める
定型化・委託の候補 日程調整、資料の定型作成 手順書を作り、他担当または外部へ移す

経営者との週次確認に使う5項目

  1. 今週完了した仕事と、完了の定義。
  2. 期限が近い業務と、担当・期限。
  3. 止まっている判断と、決めてほしいこと。
  4. 新しく入った依頼と、後回しにする仕事。
  5. 社内に残す知識と、外部へ相談する作業。

この話し合いを人事担当者個人のタスク報告にせず、会社が人事機能に何を期待し、何をしないかを決める場にします。仕事が過剰なままなら、優先順位を決める責任は経営側にもあります。

まとめ

一人目人事がつらいと感じたら、業務の量と期限、決める人、社内に残す責任を見える形にします。優先順位を経営者と合意し、専門家や外部事業者の支援は不足する作業に限定します。人事担当者個人の努力を増やすだけでなく、体制そのものを見直してください。

この記事を読み終えたら

自社の現在地を45の質問で振り返れます。領域別の結果はその場で表示され、PDFにも保存できます。

所要 約10分・登録不要。回答内容がサーバーに送信されることはありません。