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生成AIを使った回数や入力文字数を、そのまま社員の評価点にするのは避けるべきです。職種や会社のルールによって利用機会が違い、利用の多さが成果や仕事の質を示すとは限らないからです。評価するなら、AIを使ったかではなく、担当業務の成果、判断の適切さ、情報管理を含む職務上の行動を対象にします。

「社員がAIを使って仕事をした結果を評価すること」と、「AIに社員の評価をさせること」は別の判断です。本記事は前者の評価項目づくりを扱い、後者を併用する場合の確認責任にも触れます。

厚生労働省の「AI・メタバースのHR領域」調査では、人事評価データをAIで分析して配属を判断する場面について、評価者による採点差や現在の業務との適性の影響があり、機械的な判断の検証は難しいという意見が紹介されています(本文49〜50ページ)。これは人事データをAIで分析する際の課題で、社員のAI利用回数と成果の関係を示す証拠ではありません。AIの出力を評価や処遇の判断に使う場合は、最終判断の責任と説明方法を人が持つ設計が必要です。

導入前に決める5つの基準

1. 何を改善したいか

文章作成の時間短縮、情報整理、顧客対応の質など、対象業務の目的を特定します。「AIを使う文化を作る」だけでは、何を評価すればよいか決まりません。

2. 職種ごとに利用機会があるか

社内データを扱う職務や、AI利用が制限される職務では、利用可能な場面が違います。職種間の機会差を考慮せず、利用率を一律に比べないようにします。

3. 成果をどう確かめるか

AIの利用有無とは別に、成果物の正確さ、確認の質、作業時間、顧客への影響などを確認します。数値だけで測れない仕事は、上司が具体例を記録して判断します。

4. 情報とリスクをどう扱うか

個人情報、顧客情報、機密情報の入力可否、会社が認めるツール、出力の確認責任を明文化します。個人情報保護委員会は、雇用管理情報には人事評価や選考に関する個々人の情報も含まれると説明しています(雇用管理情報に関するFAQ)。社員を特定できる評価用データを外部サービスへ入力する場合は、利用目的、閲覧範囲、保存条件、委託契約を事前に確認してください。

5. 評価への反映と異議の扱い

評価者が確認する事実、本人への説明、AI出力を使う範囲、人による最終確認、誤りを申し立てる方法を決めます。AIが自動で評価・昇格・処遇を決める仕組みは、説明責任や公平性を確認できないまま導入しないでください。

小さく試す手順

  1. AI利用が許される業務と禁止事項を決める。
  2. 一つの業務で、現状の成果物・所要時間・修正内容を記録する。
  3. 利用者へ研修し、AI利用後の人による確認を必須にする。
  4. 評価点ではなく、成果とリスクの変化を観察する。
  5. 職種間の差、情報漏えい、誤情報、負担の偏りを確認してから評価制度との接続を検討する。

試行時に見る指標の例

確認したいこと 観察するもの 注意点
成果物の質 誤り、修正、再作業の内容 AI以外の要因も記録する
作業の変化 準備時間、確認時間、完了までの期間 時間短縮だけで質の低下を見落とさない
判断の質 参照した情報、反対案、本人の確認 AIの説明をそのまま根拠にしない
機会の公平性 職種・業務ごとの利用可能性 利用機会のない社員に不利益を与えない
情報管理 使用ツール、入力情報、事故・逸脱 個人情報・機密情報の入力を管理する

たとえば議事録の要約を試すなら、AIを使った回数ではなく、記録の誤り、確認時間、担当者が修正した内容を見ます。個人の人事評価に利用する場合は、利用目的と説明方法を社員に伝え、誤りを訂正する手順を定めてから検討します。

評価項目にする前の確認リスト

  • AI利用が職務で認められ、必要な端末や研修が提供されているか。
  • 利用しない方が適切な業務を特定しているか。
  • AIを使わない代替方法でも同じ成果を上げられるか。
  • 上司は利用の結果と判断過程を確認できるか。
  • 評価データを保存する範囲、期間、閲覧者を定めたか。

導入を急ぐより、まず業務改善の試行として検証し、利用実績と成果を混同しない評価方針を作ります。

まとめ

AIを使うこと自体を目標にせず、業務成果、確認責任、情報管理、利用機会を先に定義します。評価へ反映する場合も、AI利用の量ではなく仕事の事実を基に人が説明できる方法を選び、個人情報を扱う範囲を限定してください。評価制度全体の設計は人事評価制度の作り方へ。

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