この記事の目次

一人目人事を採用するとき、仕事内容を「人事全般」とだけ書くと、候補者も会社も入社後の期待をそろえにくくなります。まず、採用、労務、人材育成、制度設計、経営への提案のうち、最初の半年から一年で担う役割を決めます。

中小企業庁の2025年版白書は、人材不足や採用コストの増加などを採用難易度が高まる背景として挙げ、経営者自身が採用に関与して自社の魅力を伝えることが採用目標の達成に寄与する可能性を示しています。一人目人事に採用責任を丸ごと渡すのではなく、経営者が担う発信・条件決定と、人事が担う実務を分けてください。(中小企業白書・人材戦略)

採用前に決める5項目

1. 今の課題と採用理由

人事担当者がいないこと自体ではなく、採用活動が遅れている、社員対応の窓口が不明、制度づくりが進まないなど、解決したい仕事を言語化します。

2. 優先する業務と後回しにする業務

一人目人事が採用・労務・制度設計を同時に完成させる想定にしないでください。最初の四半期に何を開始し、何を維持し、何を外部へ頼むかを決めます。

3. 必須経験と入社後に習得できること

必要な専門経験、社内調整、文書作成、データ扱いなどから、業務に直結する条件を選びます。すべてを一人に求めると、要件が現実の業務と離れてしまいます。法律相談や手続の専門性が要る場合は、社労士等との連携も含めます。

4. 決裁権と相談先

誰が採用要件、予算、制度変更、労務判断を決めるかを決めます。人事担当者を採用しても経営者が意思決定に参加しないと、情報収集や提案だけが滞留することがあります。

5. 受け入れ体制

データへのアクセス、社員紹介、経営会議への参加、初月の引き継ぎ、相談先、成果の確認時期を用意します。人事担当者一人を社内のすべての相談の受け皿にしないため、緊急時や専門判断のエスカレーション先も定めます。

選考で確認する方法

  • 過去の業務を聞くときは、本人の役割・判断・成果物を具体的に確認する。
  • 自社の現状に近い短い課題を使い、課題の切り分けと優先順位を見せてもらう。
  • 課題は実務を無料で代行させるものにせず、評価項目と所要時間を事前に伝える。
  • 経営者と候補者が、決裁範囲や期待する初期成果について直接話す。

採用以外の方法も比較する

一時的な業務集中であれば、採用代行や社労士への委託、外部人事の伴走支援で必要な機能を補える場合があります。採用業務を外部へ依頼するなら、採用代行(RPO)のデメリットと契約前の確認事項で委託範囲や情報管理、法的な業務区分も確認してください。人事担当者を採用した後に、会社に制度設計やマネジメントの経験がない場合は、外部の支援を併用する設計もあります。まず業務を整理する方法は一人目人事がつらいときの棚卸し、外注の分け方は人事業務の外注と内製を参照してください。

求人票に使える役割整理のひな形

採用目的: 今の会社で、何の業務や課題を担当してほしいか。

最初の半年の優先業務: 採用・労務・制度・育成などから、実際に担う仕事を3〜5項目に絞る。

決められること: 提案できる範囲と、経営者が最終決定する範囲。

相談・連携先: 経営者、管理職、社労士、採用事業者など。

評価する成果: 採用人数だけにせず、求人要件の明確化、運用の安定、社員対応の改善など職務に合う成果を記述する。

「一人で人事制度を完成させ、採用し、労務に対応し、文化を変える」のような要件を並べず、採用後に会社側が責任を持つ業務を明らかにします。

入社後90日の受け入れ例

  • 最初の30日: 経営者・管理職・社員から現状を聞き、期限業務と関係者を把握する。
  • 31〜60日: 優先課題を経営者と合意し、担当できる小さな改善を一つ始める。
  • 61〜90日: 試行結果を共有し、次の四半期に行うことと、外部支援が必要な領域を決める。

この区分は受け入れ計画の例であり、業務や会社の状況に合わせて変えます。入社時点で成功指標が未確定なら、入社前に経営者と決めておく方が安全です。

まとめ

一人目人事を採用する前に、解決する課題、優先業務、必要条件、決裁者、受け入れ体制を決めます。採用だけを先に進めず、入社後に一人へ責任が集中しない仕組みを作ることで、会社と担当者の期待のずれを減らせます。

この記事を読み終えたら

自社の現在地を45の質問で振り返れます。領域別の結果はその場で表示され、PDFにも保存できます。

所要 約10分・登録不要。回答内容がサーバーに送信されることはありません。