組織設計の進め方とは|初めてでもわかる7ステップと90日ロードマップ

Structure | 構造

組織設計の進め方を7ステップで解説。決裁権限・会議体の整え方から、90日で試すロードマップ、効果測定の指標、よくある失敗まで手順化して紹介します。

組織設計を進める7ステップ

30人・50人・100人の壁のどこに自社が近いかが見えてきたら、次は実際に何から手をつけるかです。私が支援先で実際に踏んでいる手順を、7つのステップに分けて紹介します。順番通りに一つずつ完了させる必要はなく、自社の状況に応じて並行させる部分もありますが、まずは全体像として押さえてください。

1つ目は、経営戦略とボトルネックの確認です。今後どの事業を、どの顧客に、どう伸ばすのかを確認したうえで、成長を止めている組織・人事制約を一つに絞ります。意思決定が社長に集中している、管理職が不足している、採用しても立ち上がらないなど、症状は複数出ていても、最優先課題は一つに決めることが重要です。すべてを同時に解決しようとすると、制度改定・研修・採用・会議改革が一斉に始まり、どれも完了しなくなります。経営成果への影響と、他の課題への波及度の2つを軸に、最優先課題を一つ選ぶと迷いにくくなります。

2つ目は、仕事をまとめる単位の決定です。機能別、事業別、拠点別、プロジェクト型のどれを基本にするかを、組織図の見栄えではなく顧客価値と意思決定の速さを基準に決めます。

3つ目は、重要ポストの役割定義です。最初から全社員の職務記述書を作る必要はありません。経営者・部門長・管理職・重要な専門職から、役割の目的、責任を持つ成果、主な意思決定、他部署との責任境界を整理します。「実務を担当する人」と「最終的に責任を持つ人」は分けて考え、複数人が担当していても、完了を確認する人は一人に定めます。

4つ目は決裁権限と相談条件の設計、5つ目は会議体と情報の流れの設計です。この2つは特に効果が出やすいので、次の章で詳しく扱います。

6つ目は、役割と権限が固まった後で評価・等級・報酬を整える段階です。30〜100名企業では、最初から大企業並みの精緻な制度をつくる必要はありません。3〜6段階程度の等級、少数の評価項目から始め、評価制度の作り方等級制度の作り方で扱っている最小構成の考え方が参考になります。

7つ目は、設計した役割への配置です。社内登用、外部採用、複数人での分担、一部業務の外部委託など、選択肢は一つではありません。営業成績の高い社員を自動的に管理職へ登用するのは危険です。個人で成果を出す能力と、他者を通じて組織成果を出す能力は別物なので、正式登用の前に小さなチームやプロジェクトを任せて判断力・支援力を確認することをおすすめします。管理職の人選については管理職登用基準の作り方、プレイングマネージャーの壁についてはプレイングマネージャーが限界になる理由で詳しく解説しています。

決裁権限と会議体を最初に設計する理由

7ステップの中でも、4つ目(決裁権限)と5つ目(会議体)は特に効果が出やすい部分です。権限委譲は「自由に決めてよい」と伝えるだけでは機能しません。採用・支出・顧客対応・人員配置など、頻度と影響の大きい判断から、誰が何を決めるかの表を作ります。たとえば採用であれば、採用人数と予算は経営会議、求める人材要件は部門長、最終採用判断は部門長、例外的な給与提示は社長や人事責任者、というように分けます。あわせて、予算を超える場合や他部門へ影響する場合など、上位者へ相談すべき条件も決めておくと、現場の迷いが減ります。

会議体については、減らす前にまず「何のためにある会議か」を整理します。経営会議は全社の重要意思決定と資源配分、部門会議は部門目標の進捗確認、管理職会議は部門横断課題の共有というように役割を分け、それぞれ誰が決めるか・誰が参加するか・決定事項をどう記録し共有するかまで決めておくと、社長が全部の会議に出なくても組織が回るようになります。

決裁権限表も会議体の整理も、一度作って終わりではありません。運用してみると、想定していなかった判断事項や、参加者が多すぎて決まらない会議が必ず出てきます。最初の版は仮運用と割り切り、1〜2ヶ月ごとに見直す前提で作ることをおすすめします。

90日で進める組織改善ロードマップ

最初の30日は診断にあてます。経営戦略と今後の採用計画を確認し、社長・管理職・社員へヒアリングし、組織図と実際の報告関係を比較します。意思決定が止まった案件、会議・承認・採用・離職のデータも確認したうえで、最優先のボトルネックを一つ決めます。離職や長時間労働など緊急性の高い問題がある場合は、この診断の完了を待たずに応急対応を並行して進めます。

次の30日は設計です。重要ポストの役割を定義し、決裁権限と相談条件を決め、会議体と情報共有を整理します。管理職のプレイヤー業務を見直し、必要な制度と人材を特定したうえで、まずは一部の部門で試行します。

最後の30日は試行と修正です。新しい権限で実際に判断してもらい、社員へ変更理由を説明し、社長への承認件数や意思決定にかかる時間を測定します。役割の重複や空白を修正し、次の90日で評価・採用・育成へ広げていきます。組織設計は組織図や規程を完成させることではなく、実際に運用して判断が速くなったか、社長依存が減ったかを確認して初めて意味を持ちます。

90日という期間そのものに厳密な根拠があるわけではありません。1ヶ月では変化を確認する材料が足りず、半年では最初の設計が古くなってしまうため、診断・設計・試行の3工程を均等に配分できる期間として90日を目安にしています。社内の意思決定の速さによっては、60日や120日に調整しても構いません。

効果を測る指標

組織改善の後は、社員満足度だけでなく組織の動き方が変わったかを確認します。Structureの領域では、社長の承認件数や意思決定にかかる時間、管理職一人当たりの部下数を見ます。Systemの領域では、評価の期限遵守率や評価結果への納得度を確認します。Staffingの領域では、部門・職種別の離職率、入社後の定着率、管理職候補者の人数などを追います。

すべての指標を同時に追う必要はありません。いまのボトルネックに関係する3〜5個の指標に絞ることをおすすめします。指標を増やしすぎると、測定そのものが目的化し、肝心の「組織が変わったか」という問いから目がそれてしまいます。私が支援先に必ず伝えているのは、指標は成績表ではなく、次の一手を決めるための材料だということです。数字が動かない場合は、施策そのものではなく、施策の前提にした診断が正しかったかを見直します。

組織拡大で避けたい7つの失敗

7ステップを実際に進めるうえで、多くの会社がつまずくパターンを紹介します。組織図だけを変えて役職名を変えても、実際の権限と仕事が変わらなければ組織は変わりません。営業成績の高いエース社員をそのまま管理職にするのも、個人の成果を出す力と組織を通じて成果を出す力が別物である以上、危険な判断です。権限を渡さずに責任だけ負わせると、管理職は結局社長に確認を続けますし、逆に役割が曖昧なまま評価制度から着手すると、誰にでも当てはまる抽象的な評価しかつくれません。ただし、処遇の不透明さが深刻な場合は、構造整理と並行して暫定的な評価原則を示す必要があります。役割と受け入れ体制が曖昧なまま採用で問題を埋めようとすると既存組織の混乱が広がりますし、大企業の制度をそのまま導入しても、それを運用する管理職層が育っていなければ機能しません。最後に、一度にすべてを変えようとすると、何が改善したのか確認できなくなります。重要なボトルネックから順番に試すことが結局は近道です。私が支援先で見てきた限り、これらの失敗の多くは「早く楽になりたい」という焦りから、診断を飛ばしていきなり施策に飛びついたときに起きています。

よくある質問

Q. 7ステップは必ず順番通りに進める必要がありますか。 A. 基本の依存関係としては経営戦略・役割・権限を先に整えてから制度・採用へ進みますが、一本道ではありません。離職や業務負荷など緊急性の高い課題があれば、根本対応と並行して応急対応を進めます。

Q. 90日で終わらない場合はどうすればよいですか。 A. 珍しくありません。90日はまず一つのボトルネックで小さく試すための期間です。試行の結果を見て、次の90日で対象を広げる前提で設計されているため、1周目で完璧を目指す必要はありません。

Q. 決裁権限表や会議体の整理は、誰が主導すべきですか。 A. 専任の人事担当者がいない会社では、経営者が原案を作り、管理職を巻き込んで擦り合わせるのが現実的です。経営者一人で決め切ると、特定の人物を前提にした基準になりやすいため、必ず複数の管理職に「この基準で判断できるか」を確認してもらう工程を入れることをおすすめします。

Q. 7ステップの途中で、想定していなかった問題が見つかったらどうしますか。 A. よくあることです。診断の結果、当初想定していたボトルネックとは別の課題が出てくることもあります。その場合は無理に当初の計画を貫かず、経営成果への影響が大きい方を優先課題として選び直してください。90日ロードマップは計画通りに完了させることではなく、自社に合った優先順位を見つけることが目的です。

まとめ——設計図より、まず一つのボトルネックから

組織設計の進め方は、制度を一式そろえることではありません。経営戦略とボトルネックを確認し、重要ポストの役割と決裁権限・会議体を整え、そのうえで評価・等級・採用へと進めます。この順番と、90日単位で試行と修正を繰り返す進め方が、専任の人事担当者がいない30〜100名規模の会社でも無理なく実行できる現実的な方法です。

自社のボトルネックがどこにあるか、何から着手すべきかを一緒に整理したい場合は、無料相談フォームからお気軽にご相談ください。7ステップの全体像を眺めるだけでも、次にやるべきことは見えてきます

相談
無料

オンライン相談のご案内

「うちの場合は、何から?」30分で一緒に整理しませんか

制度設計専門のコンサルタント(支援歴7年)が、記事の内容を貴社の状況に当てはめて、着手の順番を一緒に言葉にします。準備はいりません。

  • 売り込みはしません
  • 代表が直接対応します
  • その場で決めなくてOK
30分無料相談を申し込む

入力は2分ほど。折り返しメールで日程を調整します

支援内容と料金の目安はサービス案内をご覧ください。