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新規事業を始めるために担当者を任命したものの、既存顧客の対応が減らず、新しい提案を誰に承認してもらうかも決まっていない。30〜100人の会社で既存社員が兼務するなら、担当者の意欲に任せる前に、仕事と判断の範囲を組み立てます。

新規事業の組織体制は、責任者、日々の実務、兼務で減らす仕事、決裁範囲を一緒に決めて作ります。 部門名や肩書を付けるだけでは、使える時間や権限は増えません。この記事では、与えられた事業方針を、誰が何を担うかという体制表へ変える手順を示します。採算や市場の判断を行う前提ではなく、社内で決まった方向を実行できる体制に絞ります。

確認するのは、任せる仕事と現在の仕事が両立するか、担当者がどこまで判断できるか、条件が変わったら誰が体制を見直すかの三点です。表には未確定の欄を残せます。決まっていないことを担当者の裁量だと扱わず、確認する相手を置きましょう。

組織形態を選ぶ前に、責任と仕事を決める

独立した部門にするか、既存部門の中で始めるかは、必要な仕事と調整先を見てから選びます。既存営業の顧客接点を使う事業と、別の専門知識を要する事業では、担当者を支える相手が違います。先に組織図だけを決めると、協力してほしい仕事が元の部門へ残ったままになります。

まず、事業の現在の段階を短く書きます。たとえば「顧客の要望を確認する」「提供条件を整理する」「社内で承認された条件の提案を始める」では、必要な役割が異なります。期待する成果も、売上の数字だけでなく、その段階で何を確認し、どの判断へ進めるかまで示してください。

新規事業の役割を経営目標から説明できない場合は、経営目標と部門の役割をつなぐ手順で、どの状態を変えるための仕事かを確認できます。本記事の体制表には、その方針を受けて必要になる仕事を書きます。目標そのものを担当者が一人で決める前提にはしません。

仕事の一覧には、顧客対応、社内への報告、提供条件の検討、協力部門との調整を分けて置きます。「立ち上げ全般」では、誰にどの仕事を頼むかが見えません。各仕事が完了した状態を添えれば、責任者と実務担当者の相談も具体的になります。

事業責任者と実務担当者を分けて考える

事業責任者は、方針に沿って優先順位を定め、経営者へ判断を求め、関係部門の調整を担う役割として置きます。実務担当者は、顧客の情報を集める、資料を作る、承認された内容を実行するといった仕事を担います。同じ人が両方を兼ねる場合も、表の役割は分けてください。

責任を任せるときは、必要な権限と支援も確かめます。労働政策研究・研修機構の「管理職ヒアリング調査結果」は、管理職が業務分担、進捗管理、評価、育成など複数の役割を担うことや、予算・人員に関する権限の制約を取り上げています。2019〜2020年に行ったヒアリングの報告であり、新規事業体制の効果を示す資料ではありません。ここでは、任せる役割と権限を別々に確認する背景として参照します。

役割 主に行うこと 体制表で確認する点
事業責任者 優先順位、進め方、経営への相談をまとめる 何を自分で決め、何を上へ戻すか
実務担当者 情報収集、資料作成、承認後の実行を行う 完了の状態と使える時間
承認者 会社として引き受ける条件を決める 承認に必要な材料と判断範囲
協力部門 専門事項の確認や既存業務との調整を行う 受け取る情報、返す内容、調整の窓口

専門確認と承認は違います。提供する作業を確認した部門が、そのまま価格や契約条件も決めるとは限りません。表で両者を区別し、担当者が相談を回す順番を説明できる状態にします。確認だけ済んだ案件を、会社として承認済みと伝えないようにします。

役割を一人に集める場合は、休みや既存案件の繁忙時に誰が情報を引き継ぐかも置きます。代わりの人が同じ判断権限を持つか、記録を見て経営者へ戻すだけかを明記すれば、不在時の期待がそろいます。

兼務で残す仕事・減らす仕事を明記する

兼務の体制表には、新規事業の仕事だけでなく、現在の仕事と減らす仕事を書きます。「空いた時間で進める」では、いつ新しい仕事を優先できるか判断できません。担当者と現在の上司が同じ一覧を見て、繁忙の時期や急な対応まで確認します。

棚卸しは、通常の業務、定期的に発生する業務、例外対応の三つに分けると進めやすくなります。件数や所要時間を記入する場合は、自社の記録や本人への確認を使います。測っていない時間を正確な数字として置かず、未確認の前提には確認担当を付けてください。

体制表の列 書く内容
担当役割 責任者、実務、承認、専門確認のどれか
期待する成果 次の判断へ進める成果物や確認済みの状態
既存業務 続ける仕事と繁忙・例外の条件
減らす仕事 やめる、頻度を変える、他へ渡す仕事
決裁できること 自分で決める事項と、その条件
協力部門 確認先、渡す情報、受け取る内容
見直し条件 業務の増加、判断の停滞、方針変更など

引き渡す仕事は、相手の名前を書くところで終わりません。現在の案件、次の対応、注意すべき条件、記録の場所を渡し、受け取った側が仕事を再開できるかを確認します。元の担当者に相談が戻る条件も置けば、完全な移管と補助的な協力を区別できます。

兼務の負荷を役割ごとに見直す方法は、プレイングマネージャーの役割過多を整理する記事で詳しく扱っています。新規事業については、既存業務と新しい仕事が重なったとき、どちらを優先するかを決める人が特に必要です。担当者同士の遠慮だけで調整する体制を避けましょう。

予算・人員・顧客対応の判断先を置く

決裁範囲は、具体的な事項と条件で書きます。「責任者に任せる」だけでは、外部への支出、社内の人員利用、顧客への約束がどこまで含まれるか分かりません。予算、人員、提供条件について、通常の範囲と範囲外の戻し先を決めます。

金額や期間に一律の基準を入れる必要はありません。自社で承認した予算や決裁規程があれば、その条件を参照します。未決定なら、担当者が提案する範囲と経営者が決める範囲を仮に分け、承認が必要な欄として残します。書いた数字が承認された予算だと誤解されないよう、状態を添えてください。

協力部門の時間も、担当者が自由に使える資源ではありません。何の確認を、どの担当へ頼み、既存の予定と衝突したら誰が優先順位を決めるかを確認します。専門担当から回答が返らない場合は、催促を重ねる前に、依頼内容と優先順位の合意を確かめます。

顧客対応は、説明できる情報、提案できる条件、約束できる条件を分けます。新しい希望が出たときは、情報を持ち帰り、社内確認後に回答する流れを置きます。担当者が顧客に応じる役割と、会社の条件を変更する役割を混ぜないことが、体制表の大事な用途です。

複数部門の時間や条件を経営で選ぶ必要がある場合は、経営会議の判断メモと決定記録へ進めます。相談時には、選択肢、それぞれが既存業務へ与える影響、決めてほしい事項をまとめます。「協力してほしい」という要望だけより、判断の材料になります。

50人企業で兼務体制を試す架空例

社員50人の会社で、営業担当が新サービスの立ち上げを兼務する架空例です。ほねぐみ。の支援実績ではなく、標準人数や標準期間を示すものでもありません。経営者は担当者へ顧客の要望を確認する仕事を任せましたが、既存顧客への日常連絡と、提供条件の承認が曖昧でした。

失敗例は、担当者を「新規事業責任者」と呼び、現在の仕事を残したまま、協力部門への依頼まで全部任せることです。担当者は既存顧客の連絡を先に処理し、新しい提案の確認は後回しになります。責任者という肩書があっても、担当者の予定と協力部門の判断経路は変わっていません。

この例では、継続中の顧客への定例連絡を別の営業へ引き渡し、例外の相談だけ元の担当者へ戻します。新サービスの担当者は、要望と提供条件の案を整理します。実際に提供できる作業は協力部門が確認し、会社として提案してよい条件は経営者が承認します。

最初に確かめるのは、一つの要望が入った場合の動きです。担当者が情報を集め、専門確認を依頼し、条件案を承認へ出し、回答を残すところまで、架空の依頼を使って読み合わせます。既存顧客の例外対応が同時に入った場合も試し、どちらを優先するかを上司と決めます。

試した結果、毎回承認が止まるなら、担当者を増やす前に承認材料と判断範囲を見直します。日常連絡が元の担当者へ戻るなら、引き渡し内容を補います。この試行から売上や立ち上げの成功を推定せず、仕事を進められる条件を確認します。

体制の変更を判断する条件を残す

体制は、仕事量と判断の内容が変わったときに見直します。顧客の要望が増える、専門確認が必要な範囲が広がる、既存業務の優先順位が変わるといった条件を、表に残しておきます。専任化や部門新設をいつ行うかは、自社の状況を確かめて判断します。

見直しでは、担当者の仕事が多いのか、協力部門の支援が足りないのか、承認が集中しているのかを分けます。同じ「進まない」でも、減らす業務、増やす支援、移す権限は違います。未完了の件数だけでなく、止まった理由を一件ずつ確認するところから始められます。

変更を決めたら、現在の体制、変更後の担当、引き継ぐ情報、説明する相手を記録します。兼務を解く場合も、既存業務を誰へ返すかが必要です。新しい組織図と、実際に仕事を受け渡す日や条件がずれないように、確認する担当を置きます。

最初の行動は、担当予定者の現在の仕事を横に置き、新しく任せる役割と減らす仕事を体制表へ書くことです。 決裁できる事項が不明なら、経営者へ確認する問いとして残してください。

兼務や決裁範囲に無理があり、どこから整理するか迷う場合は、新規事業の役割について無料相談するから、最初に整理するテーマをご相談ください。任せたい仕事の一覧、担当予定者の現行業務、判断・承認が必要な事項があると状況を説明できます。「新規事業の担当は決まったが、既存顧客の対応を減らせず、提供条件の承認先も曖昧」といった相談例が使えます。